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お墓の花の常識

お墓参りのときにお供えするお花について、今時の常識はどうなっているか、という記事です。
どんなお花を、どこで入手し、どんな風に供えるのか、供えた後の始末はどうするのか、最近現れた「お墓参り代行サービス」にお花を頼むときの注意点は何か、などを紹介しています。

 

目次 お墓の花の常識

  1. お墓参りの花は、どこで買う?
  2. どんな花が、お墓参りにふさわしい?
  3. お墓に造花はアリかナシか
  4. お墓参りの花の値段の相場は?
  5. お墓参りの花の体裁
  6. お墓参りで、花を挿すタイミングはいつ?
  7. 供えた後の花はどうする?
  8. お墓参り代行サービスにお花を供えてもらうなら

お墓参りの花は、どこで買う?

お墓参りの花の入手先としては、当然ながら花屋が一番一般的でしょう。
花屋以外で買うなら、スーパー、ホームセンターなどがあります。場所によってはコンビニや、墓地・霊園の入り口付近の売店にあることもあります。
買わずに、自宅の庭などから調達する方法もあります。案外、ご先祖さまは家で咲いた花が一番うれしいかもしれません。

仏花はネットでも買えます。ただ、当サイトでは、仏花のネット買いを特におすすめはいたしません。そうするメリットがあまり無いと考えるからです。(お参りの時刻にお墓の前まで配達してくれるわけじゃないので)もし、仏花の調達が非常に難しい環境にいて、それしか入手方法が無いならともかく、花屋に寄ってお墓に行くことができる境遇にいるのならば、花屋で買う方がむしろ手軽です。

花の入手先についての注意点としては、お墓まで行く道中のどこかで買おうと思っている場合には、入手不可の可能性が無いかどうか、一度は考えた方が良い、ということがあります。特に、はじめて行くお墓で、結構な田舎のお墓の場合、本気で考えておいた方が良いです。
例えば、お参りに行くお墓が青山墓地であれば、何も心配要りません。どこから出発しても、必ずお花を買える場所はあると確信できます。墓地近くにも花屋はあるからです。でも、例えば管理人の父の実家のあたりでは、町内に花屋はありません。いつもタクシーで行くのですが、花屋が無いことを知らずに行って、お墓で降りてしまうと、再びタクシーを呼びよせ、「最寄り駅まで行ってくれ」と頼み、駅周辺で花を買って、再度タクシーでお墓に戻る、ということになります。
これは極端な例ですが、家からお墓までの間のどこで花を買うのかは、あらかじめ考えておいた方が良いです。

 

どんな花が、お墓参りにふさわしい?

お墓の花の常識

お墓参りの花の選び方で、一番多いのは、
「花屋で、仏花として束に作ってあるものを買う」
です。こだわりのある人と、こだわらなければならない理由がある人以外で、あえてこの方法を回避する必要はないと思います。仏花として束に組んであるものは、ごくお安いものだと500円くらいから、高いもので2500円くらいになりますが、どこの店でも1本ずつセレクトして買うより断然お得です。
値段帯のことを言うと、近隣に霊園があるような花屋であれば、300円~5000円くらいまでの広い値段帯で様々な組み合わせを用意してあるお店もあります。

もし、花屋にセット束が無かったり、あっても気に入るものが無かった場合には、自分セレクトの束を作ってもらうと良いです。複数の花の種類・色を組み合わせる方がスタンダードですが、単一の花だけを束ねても良いです。自分がこの花を捧げたいと思うものを選んでください。

お墓の花の常識

大体、なんとなく自分の思っている「こういうのがお墓に持ってく花だろうな」というイメージにしたがって選べば、そんなに失敗することは無いものです。故人の好きだった花、というのも良いセレクトです。トゲのある花、毒がある花を避けておけば大丈夫です。

これさえ選んでおけば問題ないと言える筆頭は、菊類です。菊の類なら、ほぼ何色でも大丈夫です。(「ほぼ何色でも」と書いているのは、最近は人工着色した菊があったりして、金ラメ銀ラメのかかった菊などあるからです。さすがにラメラメは避けた方が良いと思います)

お墓の花の常識

自分で選ぶことに自信が無ければ、花屋さんに、
「お墓に持ってく花ならどれが良いか」
と相談してみましょう。値段も申告すれば、一緒にふさわしい花を選んでくれます。

 

お墓に造花はアリかナシか

お墓の花の常識

上の画像の花は、造花です。このように、実際に造花を供えることは、すでに行われています。
なので、「アリかナシか」と言われれば、「現状ではアリになっている」と答えたいと思います。つまり、当サイトとしては、特に造花を推奨しないが、世間ではそうしている人もいます、ということです。

管理人の感覚が古いだけかもしれませんが、仏様に造花をあげることに、私はどうも抵抗があります。しかし、冠婚葬祭のマナー指南の本やサイトを見ると、「生花をあげて、枯らせてしまうより、造花の方がむしろ良い」としているものもあります。一昔前ならば、おそらく私のような「造花なんて……」という考えの人の方が圧倒的に多かったはずなのですが、今や専門家の中にも「造花でもいいじゃないか、その方が合理的なこともある」とする考えが生まれていて、しかも増えてきている、ということです。

現状では、お墓に造花を置くことを、当然とする人と、眉をひそめる人とが、混在している状態と考えてください。自分は造花を良しとする、と思う人は造花で良いのでしょう。個人の感覚でお決めください。決められない…と思う人は、生花にしておくのが安全です。

 

お墓参りの花の値段の相場は?

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お値段的なことは、あまり気にしなくても良いです。(庭の花を摘んで行っても良いくらいなのですから)値段より、むしろ嵩の方が大事です。
それでも、どうしてもおよその相場を知りたいということであれば、300~2,000円の間くらい、とお答えします。300円と2,000円はだいぶ違うだろうと思うでしょうが、花や店頭で作ってある仏花を見て「これでちょうどいいな」と思ったものが300円であれば300円でいいし、2,000円だったら2,000円でもいいだろう、というくらいの感じで良いと思います。

値段を気にしたい人は、「世間一般ではどうか」ということより、「行こうとしているお墓のある地域ではどうなのか」をリサーチする方が良いです。
お墓のお花にお金をかけることで有名なのは、鹿児島県です。鹿児島だと、おそらく300円だと周囲のお墓に入っているお花と見比べたら「私の持ってきたものだけショボい!」となります。
可能であれば、お墓のある地域に住んでいる人に聞くと良いです。今のところ、こればっかりは、ネットで検索してもあまり情報に行きつけないようです(2025年現在)。もしくは、最初の一回は、「世間的な相場」の最高金額である2,000円くらいのものを用意して行き、行った先で周りのお墓の様子を見て「ここの相場はこれくらい」というものを把握し、以降はその金額で用意していくと良いでしょう。

 

お墓参りの花の体裁

「体裁」というタイトルで一項設けましたが、実はそれほど気にすることではありません。普通に挿せば、それで良いです。

お墓の前にある花立ては、基本的には左右で一対、または2対作られていることが多いです。

お墓の花の常識

同じものを二束買うか、花屋に「一対にしてください」と申告して作ってもらうかして、対になっている状態でお墓まで持っていくと、そのまま挿せばいいので楽です。しかし、一つの束を、現地で大雑把に二つに分けて、左右にそれぞれ挿せばそれでも良いです。厳密に、左右全く同じように挿すことにこだわらなくても大丈夫です。花入れが2つ以上あったら、どう分配して入れても良いです。仮に、花立てが4つあったとして、自分の持って行った花では2つに挿すのがせいぜいだと思ったら、無理に4分割せずに、メインの一対だと思える花立て二つに入れても良いです。

お墓の花の常識

お墓の花の常識

お墓の花立ては、深さは15~20cmくらいのものが多く、直径は5cm前後くらいが多いですが、たまに妙に大きいもの、小さいものもあります。

もし、花立てのサイズがわかっていれば、その大きさに合わせた花を持っていくと良いです。花屋で仏花を買うときに、その旨伝えると、程よい長さ・太さに整えてくれます。長すぎた花を持って行ってしまった場合、現地で花を切らねばならなくなりますので(花鋏が必要になります)、それをしたくない人は、花立てに合ったサイズの花を持って行きましょう。(当然のように花鋏持参で行く人もいます。苦にならないなら、そうしてください)

お参りした時に、すでに花が入っていたら、臨機応変に対処して良いです。自分の花も入れられそうだったら、すでに入っている花に足せばいいし、もう一杯で入らないと思ったら、入っていた花は抜いて良いです。抜いた花は、処分するのも持ち帰るのも自由です。

 

お墓参りで、花を挿すタイミングはいつ?

花立てに花を入れるタイミングは、周りの掃除をしてきれいにしてからが良いです。きれいにしてから、さし上げるものをさし上げる、という順番です。
お花とお線香を上げるのは、全部きれいになった後です。

 

供えた後の花はどうする?

お供えした花は、そこからどうすればいいのか? 挿したままにすれば、生花はいつかは枯れます。
ベストなのは、花がダメになる前に、また来て挿し直すという方法です。お墓が家の近所だと、当然のようにこうしている家は結構あります。

しかし、なかなかお墓まで通えない場合はどうすれば良いのか?
その場合は、お参りする人と墓地・霊園の考え方によりますが、大体次の2パターンのどちらかです。

  1. お花を供えたままにする
  2. お花を持ち帰る

1.お花を供えたままにする

管理人自身は、このタイプのお参りしかしたことがありません。
挿したお花を、そのままにして帰ります。数日後にお花は枯れるでしょうが、次に来た人が抜いてくれるか、次に自分が来たときに抜くか、それまでは挿したまま放置、という方法です。数か月(あるいはそれ以上)人が来なかった場合、数か月間枯れたお花が入っていることになりますが、それはそれ、ということにします。数か月枯れたままはまずい、と思う人は、マメにお参りするか、「2」のパターンのように、「持ち帰る」という選択をしましょう。

墓地・霊園によっては、枯れたお花を撤去してくれるような管理をしてくれるところもあります。管理してもらえるのであれば、安心して置いていくことができます。(公には「管理」をしていない墓地でも、寺務所の人や管理人さんに心付けみたいなものを渡せば枯れたお花くらい抜いておいてくれることもありますが……互いにツーカーでないと難しいかもしれません)

お墓の花の常識

2.お花を持ち帰る

「お花を持ち帰る」には、2パターンあります。
一つは、お参りした人が自主的に持ち帰る場合、もう一つは、墓地・霊園の側が、持ち帰りを推奨している場合です。
前者は、お参りする人の意識や習慣の問題です。「いずれ枯れたままになってしまうので、その場で供えたものを持ち帰ろう」という行動です。お菓子などのお供物を持ち帰るのと同じことです。
後者は、お墓の管理をしている側から、「持ち帰る方がよろしいです」と言われているので持ち帰る、ということです。私個人の見聞の範囲では、墓地・霊園が、「絶対に持ち帰ってください。挿したままは禁止です!」との規則を設けているところは見たことがないです。なので、「持ち帰り推奨」の場所でも、挿したままで帰ったからと言って注意されることも無いとは思いますが、管理者が言うことには従った方が良いだろう、と思う人は、持ち帰りに協力すると良いです。

 

お墓参り代行サービスにお花を供えてもらうなら

お墓の花の常識

お墓参り代行サービス、というものがあります。なかなかお墓参りに行けない人が、業者に頼んで代参してもらうことができるサービスで、最近需要が大きくなっているといいます。
近い未来には、ごく一般的なサービスになることも考えられます。

お墓参りを他人に代行させるのはどうなのか、という考えも当然ありますが、ここではその議論はせず、「もし、お墓参り代行を利用するなら、お花関連で気を付けるべきことはないか」という話だけすることにします。

お墓参り代行は、なかなかデリケートな内容の仕事なので、基本的には、サービスの内容を丁寧に説明されます。お花関連の説明も、必ずされるはずです。(むしろ、されなかったら業者の誠実さを疑ってください)なので、説明のとおりだと了解すれば万事OKのはずではありますが、強いて注意点を挙げるなら下のようになります。

  • 業者により、お花代は、基本料金に含まれていることもあれば別料金のこともある。必ず明かにされているので、確認すること
  • お花の内容の希望を出せる業者もある。お任せのこともある
  • もし、お墓の花入れの形・大きさ・数が特殊な場合は、あらかじめ伝えておく方が良い。通常は、「一般的な大きさの1対のお花」が用意される(特殊な形・大きさ・数の花入れに、通常のお花1対をなるべく見栄えよくきちんと入れてください、とするか、特殊な要素に合わせたお花を用意してください、と頼むかは、発注者の考え次第。ただし、お花の内容について個別対応不可です、と言われることもある)
  • 規定のお花が決められていて、その内容(菊何本、ユリ何本、というような)や、画像を示してもらえることもある
  • お花の内容に希望を出せる場合、もし希望のお花を入手できなかった場合はどうするのか、トラブル防止のためにはあらかじめ確認した方が良い(でも多分、入手不可の場合はお任せください、になると思われる)